今回は少しマニアックなアイテムをご紹介いたします。
SEA TO SUMMIT(シートゥーサミット)の『フィールドリペアバックル』シリーズ。
見た目通りザックやカバンの補修パーツです。
一見すると何の変哲も無く、類似品を各アウトドアショップやホームセンターでも目にされた事があるパーツと思います。
それなのに何故今回、わざわざこのシートゥーサミットのバックルをわざわざ話題にするのか―。
それはこのフィールドリペアバックルシリーズがユーザーで簡単に交換可能であるためです。
中でもPinタイプは類似品よりも機能面で優れた特徴を持っています。
こ3種のPinタイプの特徴、それは交換や取り付けの際に縫製を必要としないという点です。
このようにザック本体側に固定する軸が脱着できる仕様でドライバーさえあれば誰でも簡単に交換できるようになっているのです。
とても便利なアイテムだと思いませんか?
特別な工具も技術も必要しないため、破損した際にも自分自身で対応が可能という優れものです。
実際にどのように交換するのかをご紹介いたします。
複数種類があるのですが、今回は「ラダーロック」を例にします。
交換手順(ラダーロックの場合)
①交換部品の見極め
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交換にあたってはまず「どの部分の」「どんなバックル」なのかを把握する必要があります。
形状の確認もですが、そのバックルが『どんな役割を果たしているのか』を理解しておくことがポイントです。
例えばこのケースで必要になるのは『ラダーロック』。
ショルダーハーネスを調節する機構です。
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②サイズの選択
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バックルの種類が決まったら、次はサイズ選びです。バックルを通過するベルト/テープの幅によってサイズバリエーションが存在します。
ちなみにサイズ表記はあくまで製品の内寸寸法ですので、ベルトやテープの幅で選ぶと場合によっては相性が良くない可能性もあるので注意してください。
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③破損部品の取り外し
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ここからが交換の工程です。まずは破損部品を取り外すために調節側のベルトを抜き取ります。
末端が何重にも厚く縫われている場合は縫製を解くしかありません。
(冒頭では縫いは必要としないと言いましたが、再度末端処理を施すとなると必要になりますので悪しからず)
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本体側で固定されている部分については一旦切断するしかありません。
アウトドアブランドのザックやリュックではもともと強靭なプラパーツが使用されていることがほとんどですので、ハサミよりもニッパーを用いる方が安全です。
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軸の部分も切断。本来であればこの部分さえ切断すれば大丈夫なのですが、作業のしやすさを考慮してこの手順にしています。
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本体から抜き取ります。
切断面が鋭利なので怪我に注意してください。
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これで事前準備完了です。
ご覧の通り本体側ループの縫製には一切手をつけていません。
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④交換部品の取り付け
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まずは交換用のバックルをセットします。
構造を理解しておかないとこれ以降つまずいてしまうので、上記取り外しの工程でもそこを頭に入れて作業しましょう。
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Pinをセットします。今度はこのPinが軸になります。
ネジ穴に差し込むのに少し要領がいりますが、集中すれば大丈夫です。
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Pinを締め込みます。
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取り付け完了しました。
ぐらつきなどないか確認してください。
ここまで来たらあともう少しです。 |
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ベルトを通し直します。
向きや順序が逆になるといけませんので、ここも予め逆算で手順を把握しておきましょう。
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折り返します。
ここの構造こそがベルトとバックルによる調節機能です。
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⑤交換完了
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ベルトを通しきったら交換完了です。
ちゃんと機能するか改めて確認しましょう。
ベルトの末端分解、末端分解&再処理が必要でなければこれにて終了です。非常に簡単。
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以上が実際の交換手順です。手軽さがお分かりいただけたでしょうか。
このフィールドリペアバックルシリーズは部品単体では決して安価ではありませんが、時間と手間を含めたコストパフォーマンスで総評するべきと考えています。
経験ある方はお分かりかと思いますが、このケースの場合はまず修理に出すことを検討されるのではないでしょうか。
その場合、持ち込み→作業→返却といったように工期もかかってしまいますし、当然費用がかかってしまいます。
また純正の部品に拘るとなると更に時間と費用がかかるかもしれません。
中には交換用パーツさえ入手できれば縫製含めて自力で交換可能という方もいらっしゃると思います。
確かに修理に出すよりは安上がりかもしれませんが、仮に部品の調達から始め、その上で縫製を解いて再び縫い直すとなると、結局時間含めた手間は覚悟しなければなりません。
更にいずれの場合もこういうケースを想像してみてください。
“壊れたのは今日、次に使う予定は明日”
さぁ困った・・・皆さんならどうされますか?
そうなんです、ここまでの流れで既にお気づきの通り、このフィールドリペアバックルシリーズの存在を知っているか否かで事態解決の速度が断然違ってきます。
緊急度が増せば増すほどフィールドリペアバックルシリーズの有用性が顕著になるという訳ですね。
しかも一度フィールドリペアバックルに交換してしまえば、今度はそこが壊れた際でも上記工程③でやった部品切断の手順も必要なくなるので更に効率がUPするというメリットも生まれます。
また上記で例に挙げたような事後の対応だけでなく、予めの備えとしていくつか手元にストックしておくというのも安心です。
名前の通りフィールドでも対応可能な特徴を活かし、登山用の緊急装備に忍ばせておくのもありでしょう。
ハードな山行が定例という方にとっては尚の事と思います。
活用方法が人それぞれにある点もこのアイテムの魅力ではないでしょうか。
という事でここからはシリーズの紹介をしたいのですが、その前にまずバックルのおさらいをしてみたいと思います。
バックルの種類と使用例について
フィールドリペアバックルシリーズは上記4種類がラインナップされていますが、一般的にザック等で使い分けられるのもこの4パターンかと思います。メーカー独自の形状やオリジナルの機構を持っている等、特殊な部品を使用していない限りは基本的にこのいずれかのフィールドリペアバックルシリーズで対応可能と思われます。
これらがどんなバックのどの箇所に対応できるのか?
代表例をいくつかあげてみたいと思います。
画像の丸の色で区別をしてください。
*一般論として紹介しますので、シリーズのサイズ展開で対応できない部分もあります。予めご容赦ください。
登山用ザック
正面/背面(背負う側)共に多種多様なバックルが使用されています。
荷室側は固定あるいは圧縮(コンプレッション)、背面側はサイズ調整に関する用途が多いのが分かると思います。
いずれも酷使する箇所がほとんどなので、予めトラブルは想定しておくべきでしょう。
登山用小物
こちらはイメージ通りではないでしょうか。
ウエストポーチやサコッシュは日常使いもすると思いますので、実は日頃から縁があるという事になりますね。
最近ではこういったアイテムを自作する人も多いと思いますが、後のリペアまで考えるとパーツの選択は重要なのではないでしょうか。
キャンプ用品
意外に思われるかもしれませんがキャンプ用品にも結構使われてます。
化繊シュラフのコンプレッションベルトや、テントであればフライシートのテンションかける部分に用いられたりもしますね。
登山用ザックもですが、高頻度で荷重がかかったり長時間紫外線にさらされる部位ほど消耗・劣化が激しいので注意が必要です。
その他のアウトドア用品
ライフジャケットやヘルメットなどの専門用具にも用いられています。
登山用であれば他にも冬用グローブや冬用ゲイター、クライミング用ハーネス(レッグループの部分)にも使用されています。
以上の通り、とにかくありとあらゆるアイテムにバックルは使用されています。
我々アウトドアプレーヤーにとってはバックルは本当に重要なパーツであるという事を改めて感じて頂ければと思います。
前置きが長くなりましたが、最後に製品の紹介です。
ラダーロック 1Pin
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用途:調節。
仕様:一方(軸)で固定、もう一方でベルトのサイズ調節。
サイズバリエーション:
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サイドリリース
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用途:接続と分離、調節。
仕様:凹側、凸側共にベルトのサイズ調節。
サイズバリエーション:
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サイドリリース 1Pin
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用途:接続と分離、調節。
仕様:凹側は軸で固定、凸側でベルトのサイズ調節。
サイズバリエーション:
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サイドリリース 2Pin
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サイズ用途:接続と分離。
仕様:凹側、凸側共に軸で固定。
バリエーション:
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ところでこのフィールドリペアバックルシリーズですが、新商品とかではなく従来からある定番品。
しかも一般的なアウトドアショップであれば取り扱っていても決して珍しくない商品です。
それなのになぜわざわざ今回改めて紹介しているのかというと、 実はここ最近フィールドリペアバックルの需要が急増しており、特にネットでのご注文が日々増えております。
これは何事!?と驚いているのですが、
等の背景を推察してみたのですがいかがでしょうか?
そもそもシートゥーサミット自体も基本的にはアウトドアユーザー中心に認知されているブランドと思いますので、今回のフィールドリペアバックルシリーズがいかに優れていようとも、世間一般ではまだまだ認知度が低いのかも知れませんね。
登山用のザックに限らず最近ではキャンプ用の収納ケースでもバッグタイプが多いし、 アウトドア用以外でも旅行用のバックや通勤通学用のリュック、普段使い用のカバンやポーチ等々、改めて見渡してみるとバックルは多くの製品で用いられており、どんな人でもトラブルの可能性は発生します。
そのためこの機会により多くの人にこの優れものの存在を知って欲しい、という願いから紹介させて頂きました。
特別な工具も技術も必要しないし、 自分で対処できればより永く愛着を持てるかもしれません。
サスティナブルな観点からも存在価値のある製品です。
アウトドアで使い勝手のいいアイテムを豊富に展開しているシートゥーサミットらしく、実に気の利いた、まさしく“痒い所に手が届く”アイテムではないでしょうか。
ちなみにシートゥーサミットの主力アイテムでもある防水バックシリーズですが、開口部に搭載されているのがフィールドリペアバックルなのをご存じでしょうか?
(一部例外アリ)
そうなんです、最初からセルフリペアを想定して設計されておりトラブルにも対処し易くしてあるのです!
ありそうでなかったこの画期的な仕組みをしっかり製品として具現化するところが流石シートゥーサミット、ユーザー目線で開発を行っていて実に好感が持てます!
以上、今回はシートゥーサミットのフィールドリペアバックルシリーズのご紹介でした。
商品ページはこちらです。
↓↓↓
SEA TO SUMMIT(シートゥーサミット) フィールドリペアバックルシリーズ
2024-05-22 10:23:59
商品情報