BlackDiamond(ブラックダイヤモンド)のピッケル『ベノムLTテック』をご紹介いたします。
ベノムLTテックのサイズは45cmのみですので、一般的な雪山歩き用ピッケルと言うよりは、どちらかというと登攀要素多めのバリエーション登山用、あるいはスキー登山用アックスというポジションです。
特徴は何といっても305gという圧倒的な軽さ。
下記の図をご覧いただくと一目瞭然ですが、ブラックダイヤモンドの代表的なピッケルと比較してもその軽さは際立っています。

*規格・・・CEN(欧州標準化委員会)とUIAA(国際山岳連盟)によって定められた耐久性の基準を満たしているかの強度規格。
T規格:テクニカル。アイスクライミングやアルパインクライミングなどハードな状況で求められる強度基準。
B規格:ベーシック。縦走など一般的な雪山登山で求められる強度基準。
ちなみに図にも記載があります通り「ベノムLTクラシック」というもっと簡易的なタイプもあります。
クラシックになると更に軽く、何と240g!
サブ的に携行したり、念のためにお守りとしてといった用途であればクラシックでも十分ではないでしょうか。
対してテックはクラシックよりも使い勝手が重視されたモデルです。
実用性のテック⇔軽量特化のクラシック、こういったすみ分けになると思います。
この点を踏まえてベノムLTテックの詳細を見ていきましょう。
まずはピッケルの心臓部分であるピックから。
左がベノムLTテックのピック、右がベノムLTクラシックのピック形状です。
ベノムLTテックにはリバースタイプの刺さりやすいピックが装備されています。
対してベノムLTクラシックは極標準的なピックを装備。
ヘッド部分は共通。ヘッドには刃がなく形状にもクセがないので持ちやすいです。
つまり装備されているピックのタイプによってテック⇔クラシックと区分されています。
ピックは交換可能(別売りパーツあり)ですので、クラシックにテックのピックを装着するいった使い方もできます。
ベノムLTテックにはベノムLTクラシックに無い装備が2つあります。
一つはピックの反対側、アッズ(スコップ)部分に装着されているハンマーです。
ハーケンを打つ等が想定される場合はハンマーを装着した状態で、そのようなケースが無い場合は外して軽量化する、といった使い分けが可能です。
ハンマーもまた取り外しが可能で別売りがあります。
そしてもう一つがシャフト部分に装着されているポンメルです。
ポンメルがある事によって急傾斜でのダガーポジションや、雪壁でアックス的に使用する場合でもピッケルの保持をアシストしてくれます。
こちらも取り外し可能で、別売りパーツがあります。
つまりベノムLTクラシックのピックをテックタイプに交換し、ハンマーとポンメルを追加した状態がベノムLTテックとなります。
逆にベノムLTテックをベノムLTクラシック並みに軽量化しようと思ったらハンマーとポンメルを外して使う、といった感じです。
(・・・どちらを先に買うべきか悩ましい!)
ここからはベノムLTテック&ベノムLTクラシック共通の解説です。
ヘッドは共通とお伝えしましたが、シャフト本体(ベント形状含む)、スパイク(石突き)も共通仕様です。
 |
シャフト下部にはグリップ性を高めるための溝が設けられています。
グローブ着用状態で有効な滑り止めになってくれそうです。
軽量化の為にカバーの省略だけで済ませそうなところ、こういった細かい実用性は妥協しないところがニクいですね。
|
 |
ユニークな形状のスチール製スパイク。円錐形はなかなかに珍しい。
頼りなげに見えるかもしれませんが、先端はけっこう尖ってますので効きそうです。
こちらも交換が可能との事です。
(今のところ別売りはされていないです)
|
ヘッド側もスパイク側もカラビナやリーシュを取り付けるには充分なサイズの穴が設けられています。
最後に面白いギミックをご紹介します。
ベノムLTテック/ベノムLTクラシックは「トランファーLTショベル」のブレード部分をシャフトに取り付けることで『ショベルモード』として使用する事ができます。
▲ベノムLTテック
ショベルモード
|
▲ベノムLTクラシック
ショベルモード
|
▲トランスファーLTショベル
使用状態
|
*ショベルブレード部分のみの別売りもあります。
実際にショベルモードにしてみます。
 |
ブレード取り付けの為のラチェットボタンがグリップ部に設けられています。
通常ピッケルとして使う時は収納しておき、ショベルモードにする時に引き出す仕掛けです。
|
 |
ボタンは回すことでロック状態を解除→引き出します。
マイナスドライバー的なもの、無ければブレードのエッジでも回せます。
|
 |
ロックが解除されるとカシャッと飛び出す構造です。
|
 |
あとは通常のシャベルのシャフトの要領でブレードに差し込むだけです。
|
 |
カチャッとロックされたら完成。
ベノムLTのスパイクが個性的な形状をしているのは、ひょっとしてこの状態でも違和感ないようにする為?
|
1本のシャフトでピッケルとショベルという2役を兼ねることになるので、装備面では大幅な軽量化/省量化です。
想定外のラッセルに備える等を考えた場合、この機能と構成はかなり魅力的ではないでしょうか。
極端なパッキング例ですが、ディスタンス22のような小型パックでもアックス&ショベルの両方を携行する事が可能に!
|
 |
いかがだったでしょうか。
軽量化だけでなく実用性も兼ね備え、しかもシャベルシャフトとしても機能する汎用性。
軽量ピッケルは各クライミングメーカーからも様々なモデルが展開されていますが、それらと比較してもベノムLTテックは流石ブラックダイヤモンドといえるような細かい工夫と斬新なギミックで差別化されているように感じます。
まだまだシーズン途中ではありますが、こういったスノーギアは販売期間も在庫も限られていますので、気になった方はお早目にご検討いただけたらと思います。
以上、今回はブラックダイヤモンド ベノムLTテックのご紹介でした。
商品ページはこちらです。
↓↓↓
2025-01-19 11:44:27
商品情報